【将棋】オリジナル戦法⑤ 青森 - 向かい飛車

青森の変化の中で最もおとなしい(笑)、向かい飛車の変化。
結論から言ってしまうと相手からしてこれを選択するのが一番有望です。

 

青森 - 向かい飛車

手の流れとしては後手の方が自然なので最初後手で局面を作りますが、説明上はこちらを先手にした方が説明しやすいのでその後先手にすぐ戻します。


流れとしては、相手が44の歩には食いつかず、飛車先伸ばしたらそっちも受けが間に合わなくね?とした場合に


交換させた際に、角を上がって対応し


相手が飛車を下に引いたら24歩と蓋をして以下向かい飛車にして逆襲の形にするのが基本的な流れです。


これを先手番にするわけですが、普通に進めると

となってしまい、相手が飛車先を突いても普通に77角(銀)が間に合ってしまう形になるので普通の将棋になります。


この戦法の骨子は「は? 俺が角道開けたら君角道開けられなくね? 俺が飛車先突いたら交換受からなくね?」と序盤早々相手の意表を突く(笑)ことなので、これでは相手も85歩を突いてきてくれませんし、そうなると青森が発動しません。


よって青森的手順はこうです。

見よこの煽りティ(笑)


世の中にはこうやって誘われると66歩も取らない飛車先も意地でも交換しないとする人もいるのですが、それだと話が進まないので間に合っていない以上飛車先交換するわってした場合で話を進めます。
実際それが最善手なので、相手がそれを避ける理由(交換が悪手となる理由)もありません。



以下進んで、これを青森向かい飛車の基本形とします。

ポイント①:千日手

この戦法は相手側に千日手を選ぶ権利があります。そしてこちらはそれを防ぐ手段はありません。

されたら諦めて応じましょう。
ただ、この戦法は序盤から相手を有利にしてあげる戦法のようなものなので、有利な方が千日手を喜んで選ぶのは「悪手」ではあります。
たまに後手が千日手を選べればそれだけで成功だと勘違いしてる人がいるので、一応。

ポイント②:後手の基本対策

青森向かい飛車は飛車先逆襲の形を作るわけですが、よって後手からしての序盤のポイントは74歩を突いて73桂の形を作ることです。

ここに気付ければこの時点で青森の対策はバッチリです。あなた(後手)が有利です(笑)


以下普通の対抗形のように進むのですが、飛車先の逆襲を封じられてしまうとこちらの主張点がなくなります。
すると対抗形にも関わらず居飛車側の飛車先の歩が突き捨てではなく交換で手持ちになっているという夢のような展開になります。
普通の対抗形でも互角なのに、この条件だと居飛車が悪い理屈がないですよね。


この時点で「は? 意味ない戦法じゃん。投げ捨てよ」と思ったあなた、はい、正しいです(笑)
が、この戦法は多少不利になっても、定跡外の未知の局面を自力で戦いたい、というのが趣旨の戦法になってます。
これについてはよもやま話の方で語るのでここでは割愛しますが、不利と分かってても珍戦法を楽しんでください(笑)
ちなみに、研究にハマった時には相手がアマチュア五段の人でも何度か勝ったことがあります。その程度には微差?です。

ポイント②-2:先手の理想展開

さて、74歩73桂型を作るのが後手の急所だと説明しましたが、逆に言うとそこが急所だと気づけなかった人には、75歩と位を取って76銀と上がります。


後手「なんか知らん戦法来たな・・・何来るか分からんから無難に玉囲っとこ」


先手「急所を見抜けなかったな! もろたで工藤!」


こう進んでしまった場合は以下85歩の逆襲に対して83歩と謝ってしまうパターンと72金と意地でも反省しないパターン(笑)とがありますが、この展開はこちらの主張(飛車先の逆襲)が通っているので、一応満足?の戦いにはできます。(局面自体は互角です)


 

ポイント② - 3:7筋を巡る攻防

さて、そのことをさらに突き詰めると、じゃあ相手が74歩突く前に75歩突いてしまえば73桂防止パターンに持っていけるじゃんと気づきます。
そこで飛車回る前に75歩を突いてみましょう。


以下進んでこの局面になります。


実はこの局面、既に先手が失敗しています。
後手に機敏に動く順があるのです。
まず74歩とつっかけていき、同歩同銀として75歩と追い返された時に


ここで普通に引いてしまうと普通の一局にしかならないんですが、しかし引くしかないようにも見えます。
しかし、なんとこの銀捨ての強襲が成立するようです。


以下進んでぼんやりこれを突かれた時に、これで対応手段がないようです。


これは自分で見つけたというより、むしろ青森で対局してたら相手がしてきた手で、そしておそらくソフトの手です(笑)
実際対局後ソフトにかけたら推奨手でした。


この銀損強襲パターン以外でも、こちらが後手の場合は一手遅れてることもあり普通に36歩同歩に38飛と回って逆襲するパターンが相手が最速で来ると間に合います。


よって74歩を突かれる前に75歩と位を取る指し方は、相手が無警戒な場合以外では成立しません。
言い換えると相手の74歩73桂型を防ぐ手段はないということであり、この戦法が序盤で確定不利になる理由です(笑)

ポイント③:角出問題

さて、飛車先逆襲を阻止されるとしばらくは駒組みが続くのですが、それが進んだこの局面。


自然に指すなら58金左とするところですが、一見何の問題もないように見えてこれがスキで、角をのぞかれて困ります。


79の地点を受ける手が物理的に限られるわけですが、角を引いて受けると取って79角から飛車を走られます。


飛車を寄って受けると歩がぴったりになります。


こういう歩があるところが、普段の対抗形と違うところです。
普通の対抗形の場合(85歩87歩の形)ではこの角出は単に飛車寄ってなんでもないので、知らないと盲点になりやすいです。


よって金を寄って踏ん張りに行くしかないですが、こう指さされるだけで不満です。


そのため、58金左とする前に46歩を指すのが正しい手順です。

それから58金左。

ポイント④:高美濃問題

先ほどの例は後手が漫然と組んでましたが、実際には青森をした場合、居飛車側は64歩型にしてくることが多いです。

これは居飛車の構想として54歩型を選ぶよりきちんと考えられたもので、45歩からの仕掛けを用意しています。


さて、その場合に、この局面になった際に高美濃に組み替えにくくなっています。
58金左と上がると、その瞬間角交換を挑まれて、79角と打たれるスキがあります。


青森開発初期の頃これが大きな問題で、高美濃に組み替えられないため手に困っていました。
47銀と上がって木村美濃にしたり、68金から57金というルートで金を47に持っていこうとしたりしてましたが、どうしても作戦負け感が否めません。


これに対しては以下のように対応します。
79角に対しあっさり馬を作らせてしまってから66角と急所に角を設置して反撃します。


そしてなんと47銀と自ら陣形を崩して馬を追い、最後に8筋から逆襲。

馬を作らせた上で自ら陣形を崩してスキを作っているにも関わらず、これでバランスが取れています。

ちなみに47銀と追った際に馬を逃げたくなければその瞬間に88歩と打つ手はありますが、その場合はあっさり馬の方を取ってしまえば大丈夫です。
あと細かいところとして、47銀を上る前に角を設置するのがポイントで、順番を逆にしてしまうと47銀45馬66角44歩などと桂跳ねではなく歩で受けられる可能性があって少し損です。


この指し方を発見してから79角に対抗できるようになり、それにより高美濃への組み換え制限がなくなって一気に序盤の駒組みが楽になりました。

ポイント④-2:高美濃問題 後手番

ちなみに今の構想は後手番だと少し事情が違ってきます。
後手番だと相手が一手多く指せるので、こうなります。

相手の56銀の一手が入ってますね?


この場合は同じように進めると、45桂から急所の角を責められる展開になってしまい、都合が悪いです。


そこで、その場合は56銀型の欠点を突いて、まず46角と合わせて馬を消しにいきます。


これで収まるならいいんですが、相手に44歩からすぐ馬を作り直す順があります。


それに対しては再び金をぶつけ、そして飛車を回ります。


相手は66馬と引いてきます。


次に44馬から53銀という狙いがあり、かといって飛車を切って捌いていっても、ちょうど67の地点が空いてしまい、こちらの狙いである55歩が自動的に消えてしまうので切ってよくなりそうに見えません。
一方相手からは45歩という狙いが残っています。


最初はこれで困って実際対局は負けたのですが、その後研究してこれを発見しました。


一見45歩と打たれて一手遅くて困っているのですが、進めてみるとこれで先手が困っています。

まさに後の先。


ちなみに相手は奨励会有段クラスだったので長考に入った後こういう手をひねり出してきたのですが、


これに対しこちらも長考してこれが最後の決め手になりました。

ポイント⑤:銀冠問題

さて、高美濃に組み替える際の問題はクリアしたのですが、さらに駒組みが進むと再び飽和になってしまいます。

ここで次の問題、銀冠問題が生じます。


ここから銀冠に組み替えようとすると、ひと目で目につくこの仕掛けが気になります。


青森開発初期の頃これが大きな問題で(以下略)


これに対しては以下のように対応します。

無視して銀冠完成。


次の当然の66歩の取り込みに対しては、相手の陣形によって同銀と同角のよい方を選択します。

同銀の方は45桂を警戒する必要があります。同角の方は43角や61角に対応することになります。

ポイント⑥:理想形

実際はすぐに銀冠に組み替えに行くことはなく、以下の展開を目指します。


まず45の位を取り、


角を転換する準備として飛車を浮き、角を引き、桂を跳ね、


満を持して角を転換します。

完成。


実はここまで進めてもまだ居飛車が有利であり、正確に指せば居飛車に潰されます(笑)
最初言った通りこの戦法はこちらが不利になる戦法なので、相手が最善を尽くしても互角を維持できるという手順はありません(笑)


ただ言いたいことは自力勝負なんだからこれなら一局の勝負にはなるし、そしてその場合、青森側はもともとポイントを損している戦法なので、なんらかの主張を作りにいかないと戦えないということです。
この理想形は一つの主張を作ることには成功しているので、その意味での理想形であり指し回しです。
実際実戦ではこの展開できちんと勝負になることも多かったです。(正確に指されて咎められたことも多くあります)

ポイント⑥-2:理想形ショートカット

実は今の理想形は少し突っ張ることでより手数を省略して実現することができます。


ここまでは同じなんですが、


いきなり角を右に引いてしまいます。


当然の65歩が気になりますが、無視して角を回ってしまうと桂取りの先手です。


これを飛車で受けたら、歩を突き出します。


これは相手の対応が悪いため、正しく指せばこうはならず、実際はこれと全く同じ局面ではこの指し方は成立しません(笑)
が、一つのアイデアとしてこういう手順もあるということです。

最後に

この青森の向かい飛車パターンでほぼ互角に戦える順および構想は、今でも模索中です。
現時点で開発できていないので逆に言えば相手からしてこれを選択するのが最も有力ですが、それでもアマチュア高段者くらいまでならある程度勝負になる程度にはなってるので、そこそこ成立はしています。