【将棋】オリジナル戦法⑤ 青森 - パックマン

青森の変化の中で一番激しい、パックマン変化。

 

青森 - パックマン

パックマンについての詳細は既に情報はたくさんあると思うのでここでは説明しません。
概略だけ説明すると、66歩を突いた時に相手が取ってきた場合になるパターンで、


飛車を回って角を成ったところで角道を開けます。


ここで相手が先に飛車を取るパターンと取らないパターンがあるのですが、取った場合は有名なこれ。


取らなかった場合はこちらも竜を作る展開になります。

 

通常のパックマンとの違い

これを聞いて
「なんだただのパックマンになるだけか、オリジナル性がなんにもないな(笑)」
と思った方は低段者、
「・・・・・・なるほどこれは初手78銀をマイナスにせずむしろプラスに生かした構想だな!」
と感じることができた方はアマチュア四段以上あります。
この青森パックマンは78銀が入った状態でパックマンにできることに意味があります。


例えば先ほどのこちらも竜を作る展開で、説明用に相手の応手を12飛に変えますが、ここの歩を取られて銀で弾いた時に


ここに馬を引く手が、銀を上がっているせいで先手になりません。


この順自体はあくまで一例ですが、この47馬と歩を取られて38銀と弾く展開はパックマンではよくある順ですが、その順の際にさらに相手に先手を取られることがなくなるということです。
乱戦において序盤の一手の価値は非常に高いです。


特に、今回はこちらが先手番でしたが、後手番の場合は32銀の代償に相手が26歩と指してることになります。

この26歩はパックマンにおいてあまりプラスがなく、ないどころか下手すると46竜に狙われるマイナスの手にまでなってしまっています。
つまりこちらにとってプラスの手と、相手にとってマイナスの手の交換になっているのです。


つまり青森パックマンは「通常のパックマンよりこちらが得する手の交換を入れさせてもらった上で、パックマンにしませんか?」と相手に突きつけているのです。


通常のパックマンは、一応居飛車側が少しだけ有利になってしまう戦法です。
しかし青森パックマンはそれを全くの互角にまで条件を戻せます。
互角なだけなので依然として歩の餌に食いついてくれたらこちらが有利になる、というわけではありませんが、序盤通の人ならそれがどれだけの「プラスを生んだ構想」かは分かるかと思います。

よって序盤の細かい損得に機敏な人ほど、この歩は取ってきません。
逆に腕自慢で乱戦上等! どうせなんでも最後は俺が勝つ! という人は取ってきます(笑)

 

この先の構想

力戦だけに、ここから先の構想は一つの最善に決まってはおらず人によっていろいろな構想があると思いますが、自分がよくやるのは、飛車を取ったパターン(パターンA)の方は、玉を右に持っていって美濃囲い。


こちらも竜を作ったパターン(パターンB)の方は、相手の応手にかなり依存しはしますが、やはり美濃囲いから金銀を盛り上げていくのをよく採用しています。

 

パターンAの場合の攻めのアイデア

パターンAの方は2つほどこちらから攻めるアイデアがあって、まず比較的相手がハマりやすいのがこれ。
33の飛車を取った後、この形になった瞬間、


スキあり!とバサッと角を切ります。


同玉は41飛。


同桂は21飛。


同金は重いようでも22銀から32金21銀成とすれば、相手からの早い攻めがない関係でゆっくりポイントを稼ぐ手が間に合います。
(88角には77桂と止めて香を取らせてしまってから11成香(から12飛))



玉の位置は51や41でも成立します。
条件として

  • 玉が51か41か42(31まで来ていない)
  • 玉が51か41の場合は、右銀が62か72(飛車の横利きが止まっている(=22銀が打てる))
  • 玉が42の場合、銀が72以外(61の金の紐がついていない)

のどれかなら33角切りが成立します。

パターンAの場合の攻めのアイデア

端歩をずんずんと突いておいて、


相手の金が浮いている状態で桂を跳ねたら端攻めを発動します。


以下両取り。


実際には香を取り返すだけの結果になるので駒得するわけではないのですが、相手陣を破れることがポイントで、相手からの攻めがない以上どこかしら破ってしまえばこちらが有利になります。

パターンBの場合の攻めのアイデア

パターンBの方はお互い手を殺し合いながらのジリジリした中盤の模様の取り合いになるので、わかりやすい攻めの手はないのでアドリブでなんとか考え出してください(笑)

ハマり手順①

乱戦だけに、序盤にいくつかハマってしまう手順があります。


この展開から、


「次に53竜の王手馬取りがあるな。でも飛車ぶつければ受かるな。でもこのままだとぶつけた飛車取られた後銀取られるな」と考えて33銀とする人はいます。(これは悪手ではないです)


でもそこで「銀だと何らかの時に切られて暴れられるとちょっと嫌だな。そうだ、桂にすればもっと安全だぞ」と桂を上がってしまうと、



「ふはははは! その王手馬取りは読み筋よ! それに備えて桂跳ねたのよ!」



「あっーーー!!!」

となって詰みます(笑)
これは将棋の実戦で現実に発生しうる最短詰み手順だと思う(笑)(実際既に5人くらいの人がハマりました)

ハマり手順②

同じくこの局面から


相手が竜を追わずに47の歩を取ってきた際に38銀と弾きます。


王手馬取りがあるので56(57)には逃げられません。そこで竜に当てて74に引いてきたら、そこで52歩と打つと、

同飛は同竜から22角成、同金は74竜から22角成と銀をただで取ることができます。


これは酷いので馬を46に逃げると、ここで決め手があります。
これを自力で見つけられた人は相当強いです。








ちょっと考える時間を与えるために少し間を(笑)








これです。

見てもすぐにはピンとこないかもしれませんが読んでみるとめちゃくちゃぴったりです。
同金もしくは同玉には22角成、同飛には53竜から飛車を取って22角成、52金左とかわす手には41歩成から61竜。32金と銀に紐をつけてかわす手にはやはり41歩成から61竜、31金に代えると22角成と切ってから41歩成~61竜。