【将棋】オリジナル戦法② 揺動矢倉棒銀

第2回。

揺動矢倉棒銀

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完成図だけ見るとただの矢倉棒銀ですが、序盤のやり取りがこの戦法の主旨です。
端を突き合った状態での矢倉戦で、かつ36歩を突いていない形になりますが、ある程度将棋に詳しい方であれば「どうしてこうなった」という先手の成功図です。
どうやってこれを実現するのか。

後述しますが、これは序盤戦術における戦法になります。

 

ポイント

①振り飛車の出だしからスタートする
最初は振り飛車の出だしをします。
そして端を打診します。
▲76歩△34歩▲66歩△84歩▲78銀△62銀▲16歩
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相手が受けてくれたら、一転裏切って居飛車を表明します。
△14歩▲56歩△54歩▲26歩
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以下相手が普通に矢倉に組んできたら、こちらも矢倉を完成させたあと銀をずんずんします。
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以下、端棒銀発動。
37歩型の端棒銀は角をのぞく反撃筋がなく、攻めに専念できます。
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最初振り飛車の出だしから端を打診することがポイントです。
最初から矢倉を表明していると、端を突いても突き合ってくれる人はいません。
しかし振り飛車の出だしであれば、穴熊をしようと思ってる人以外は基本突き合ってくれますよね。
これにより相手に端を受けさせる(相手の手を誘導する)のが最初のポイント。


②56歩(68玉)を指させる
後手番の方がこの戦法は都合がいいのですが、後手番で同じく振り飛車の出だしをした場合、ここで相手の手番になります。
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振り飛車を思わせる自然な出だしで、この局面で先手は何を指しますか?


今回のこの作戦を事前に知っている人ならあれこれ警戒した手を示してくると思いますが、普通に自然にこう進めた場合、ほとんどの「居飛車党」の人は56歩か68玉と指してきます。
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その手を見た瞬間しめたと思い端を打診します。
もし応じてくれたら、56歩型(68玉型)で揺動矢倉棒銀を発動することができます。
この事が大きなポイント。
なぜポイントになるのかというのは別の説明が必要なのでその説明を先にします。


③相手を矢倉以外に変化しづらくする
実際はこの戦法は強い人にはあんまり成功しないもので、端の突き合いがある状態で飛車先を伸ばしてきた際に、「あ、これは矢倉に普通に組むとまずいな」と気づくので別の陣形に組んで矢倉に組んでくれません。


が、自分の実際の体験からすると、アマチュア三段までの人だと平然と矢倉に組んでくる人が多いです。
四段の人ですら無配慮に矢倉に組む人も少なくない。

個人的に、前掲の
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この段階でこちらの作戦に気づいてそれに対応した組み方をできない人は実棋力は四段はないと思います。
が、ネット将棋やってると、四段相当のRの人でも意外と結構多いんですよね・・・。
その意味で、この戦法は裏の名前を「ニセ高段者発見器」と呼んでます(笑)


さて、では相居飛車になるとして、矢倉に組むとまずいとなるとどういう陣形を選択しますか?
多くあるパターンは、雁木や左美濃にして右四間風な形に組むパターンだと思います。
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この形を組むのに、56歩や68玉がマイナスの一手になっている。それが②で「56歩型(68玉型)で揺動矢倉棒銀を発動することができる」というポイントのメリットになります。
68玉はまだギリギリ左美濃にする場合はマイナスになりませんが、56歩はどちらのパターンでもマイナスです。(物理的に組めなくなります)
それらの陣形が選択できない相手は、結局(ありがたいことに)矢倉を選択する可能性が高くなってきます。


すなわち、この戦法の骨子は

④振り飛車の出だしにおける居飛車側の自然な手である56歩(68玉)を悪手にする(咎める)
ことにあります。

アマチュア五段の人にこの戦法の話をした際に、私の解説を一通り聞いてから「78銀の局面で56歩や68玉とする人は高段者じゃない。高段者ならその段階で警戒して別の手を考える」とか後出しジャンケンで高説してましたが、その人の棋譜見ると同じ局面では普通に何も考えず56歩や68玉指してました(笑)

キリスト風に言うなら、
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「この局面で56歩(68玉)と指したことがない人だけがこの戦法に石を投げなさい」
となります(笑)

 

戦術的な意味

たった序盤の7手目の(プロでも指すごく自然な)手をマイナスにする構想、それがこの戦法の主旨です。

あとがき

前述したとおり、この戦法は強い人には通用しません。
そういう意味では成立していない戦法です。
ただし、アマチュアの(ニセ)高段者くらいまでなら普通に引っかかるという意味で通用する、有力な指し方です。
私はプロやソフトと対局することはありませんので、十分に使える戦法です(笑)
大会などで勝つための戦法ではなく、将棋を楽しむための戦術として。