【将棋】 藤井聡太 炎の七番勝負

驚愕の結果。羽生三冠を破って、あのメンツに6勝1敗というありえない戦績。
この炎の七番勝負は非公式戦ですが、公式戦では現在デビュー以来13連勝、そしてもう一つの非公式戦である獅子王戦(ニコ生)も合わせてなんと現在20勝2敗。


羽生三冠より藤井聡太が上回った!と言うには早計で2敗のうち1敗は獅子王戦での羽生三冠でのものなので二人の戦績は1勝1敗ですが、それでも既に驚愕に値します。


デビュー直後の新四段が結構いい戦績を出すのは対戦相手が低段者(引退直前の棋士も含む)が多くなるからという側面もありますが、それにしても13連勝はすごい上にそれだけでなくいきなりトップクラスと指す機会を与えられつつも20勝2敗。
この七番勝負では全体的に相手が胸を貸すような指し方が多かったこと、非公式戦故に研究勝負、最先端勝負に持ち込まずに力を見てみたところがありますが、だからといって勝利が曇るわけではない。


これは羽生三冠を上回る天才と言われるのも自然です。


また結果がすごいだけでなく内容がすごい。
若くて目立った活躍をする人にはいわゆる「持ってる」人も多く、羽生三冠もその一人でしたが、藤井四段はそういう「綺麗にうまくいっている」「勝つように出来ている」ようなピッタリの一発の決め手のようなものではなく、一歩一歩の力で押しているような戦い。
攻守のバランスが本当によい。今日の展開など、29飛と引いたところでは駒損の展開で、羽生三冠相手にゆっくりしてるとヤバイ、1歩でも持たれたら終わると焦って攻めてしまう人が多い中、48金、47銀、56銀と悠然とした指し手。
羽生三冠を相手にして何手も渡しても、それでも自陣の嫌味を消してしまう手がないでしょ?といった堂々たる指し回しで、これを指せることに驚きます。


この七番勝負で刮目したのはもう一つ、寄せの鋭さ。
詰む詰まないの部分の読みが鋭いのは計算速度の速い若手にはままあることですが、まだ詰めろですらない部分での寄せに関して、最短距離だなと。
なみいる高段者すら難しいと言う局面で、高段者ですらすぐには思いつかない方法であっという間に寄せてしまう終盤力。
これに関しては第六局の佐藤九段戦が圧巻でした。


詰将棋の力がすごい(詰将棋選手権で優勝している)棋士としては過去に宮田六段、広瀬八段がいて、やはり二人とも終盤の寄せが異常なことで有名でした。
やはり詰将棋の力は詰ます時だけでなく寄せる時にも大きく影響するんですね。



期待の新人が、本当に期待できる新人であることを証明している現在の戦績。
若い頃は有望と言われた人が停滞することも多い将棋界ですが、これはやはり久しぶりの10代でのタイトルホルダーを期待してしまいますね。