感動しました。
これは新海作品の最高到達点でしょう。
新海誠監督の作品は初期の頃のものから観ているものの、期待の新人であることは間違いないながらもまだまだ一般の人にまで広く評価される作品ではないなと思っていました。
実際一つ前の作品、言の葉の庭も、面白かったかと言われれば面白かったものの、これを他の人にも自信持って勧めるかと言われると「うーん、人を選ぶ?」という感じでした。
しかし今作は自信を持って人に勧められます。これは傑作です。是非観てみて欲しい。
新海作品といえば独特の空気感によるシナリオ、特別大きな物語というより男女の間を直接的ではなく空気で描く感じの作品が芸風ですが、今回もその作風は残しながらもより一般向けにしてきたという感じです。
登場人物がより青少年にも感情移入しやすいものになり、また話の方も結構動きがあります。
新海誠の良いところは残しつつ、しかし「アク」の部分を除いてきた感じ。口当たりの良い新海誠。
実際凄まじい興行成績のようで、ジブリの作品の幾つかを追い越しつつ現時点で歴代の3位。しかし2位を抜くのは時間の問題で、圧倒的1位を誇る千と千尋の神隠しを抜けるかどうかということまで注目されています。(ちなみに28日時点で1位の千と千尋が308億、2位のハウルが196億、君の名が194億)
ずっと日本のアニメ業界(オタク向けではなく一般向けのもの)はジブリの一人勝ちというか、一人で引っ張ってきたところがありますが、新海誠がそれに追いつく立場まで上り詰めてきたことが素直に喜ばしい。
ただ、個人的には忘れてはいけないと推したいのが、その一角に細田守もいること。現在の日本アニメ業界はジブリと新海と、細田の三本柱、三強が並んで競い始めたという状況だと思います。(興行収入だけで言うと細田が一歩遅れてますが、今回新海がブレイクしたように、細田も今後ブレイクしてくるのはかなり可能性は高いでしょう)
君の名は、は素晴らしい作品です。しかし同じくらい細田守のおおかみこどもの雨と雪も素晴らしい作品です。
今回君の名はでジブリ以外の日本のアニメにも興味を持った方には、是非そっちも推したい。そちらも一般向け(おそらく君の名は以上に一般向け)で、同じく感動できます。
ただ、新海誠の欠点(私個人にとっては長所なのですが)というか、今後ジブリと同じだけの地位を築いていくにあたってぶつかりそうな壁として、女の子が可愛すぎることがあります。
これは作画的な意味だけではなく、新海誠は男性監督であることもあって、どうしても男性視点から見ての女性、可愛い女の子を描いてしまうところがある。
細かい表情やちょっとした仕草、そして何より性格付けにおいて、どうしても男に都合よく可愛い。ここが多分女性ファンに対する壁となってしまうでしょう。
また少し対象年齢が高めであり、恋愛描写が中心なので、子供向けでない。高校生くらいからには圧倒的人気を得そうですが、家族で見に行くアニメでない。
ジブリのアニメで女の子が心底可愛いと思うことは少ないと思いますが、だからこそジブリのアニメは一般の人に安心して見れる雰囲気を作っていました。ここが今後新海作品でどうなるか。
とはいえ今回のこの作品も実際に歴代2位確実なほどヒットしているわけですが、この心配は稀有なのでしょうか。今はまだ私には分かりません。
ともかく結論は、オススメ!