【サッカー】 W杯予選 日本vsシンガポール

これが、本番。


ハリルジャパンになってからまだ見れていないという意味で気になっていた、引いた相手に対する戦い方。
ただでさえ練習試合をする機会が少なかった上に、練習試合ではどのチームも内容や成長を重視し、ただ勝ち(引き分け)だけを求める戦いはしないこともあり、ここは未知数でした。
特に引いてスローダウンさせられると、ハリルの目指している縦に早い攻撃も成立しづらい。


結果だけ見ると今までの日本代表と同じです。まるでW杯のギリシア戦を観ているかのようでした。
が、中身については結構違います。いい意味でも上手くいかなかった意味でも違う。

システム的な話

引いた相手に対するハリルジャパンの戦い方で特徴的だったのは、

  • 中央最前線に人数を大量投入する
  • 後ろに残す人数を減らす

です。

中央最前線に人数を大量投入する

これに関しては、ここまで渋滞させてしまっては機能しないのではないかと感じました。
ペナルティエリア内というのは人数がいればいるほどいいわけではなく(それが肯定されるのはセットプレーの時か、最終盤でのパワープレーの時のみ)、むしろ人数を減らすようにしたい場所です。
ハリルジャパンが求めることに動いてチャンスを作るということがありますが、それを実現するのに必要なのは人数ではなく動くためのスペース。
最前線を渋滞させるとお互いにお互いのスペースを殺しあうことになるので、非常にやりづらそうでした。


解説でも散々言われていましたが、もっとサイドを使って相手の守備陣を「広げる」べきではないでしょうか。
広げ終わった後のクロスへの対応なら、今のように中に人数を渋滞させることはちゃんとプラスに働きます。


その意味で気になったのが、中に入りがちな本田の動き。
彼が中に入るのは一つの動きの選択肢ですが、それをするのはサイドバックの選手が上がってきて代わりにサイドに張っている時。
それがないのに本田が中へ中へと入るのでそれが渋滞の一つの原因になってました。
この点に関しては今日は左サイド(宇佐美と太田の関係性)の方が上手く機能していたと思います。

後ろに残す人数を減らす

これは評価している部分です。
W杯のギリシア戦が典型的でしたが、相手の方が一人少なくまたベタベタに引いているような状況でさえ、通常の定跡である「後ろに三人残す」を頑なに守ろうとする。
これは改善すべきと選手の間からすら声が上がるほどでしたが、ハリルジャパンではそういう状況なら後ろの人数は2人まで減らす、場合によっては吉田や槙野もどんどん上がっていく、という戦い方をするようになってますね。
精度の話をすればまだまだ上手くいってはいなくてその結果後ろの形がバラバラになることはありましたが、そこは精度の問題であってシステム自身の問題ではなく、今後熟成させていけばいいだけです。

一つ一つのプレー

今日気になったのは、中盤から前線へ送るパスの精度がことごとく低かったこと。
難しいパスが成功しないのではなく、イージーなパスを「は?」って言いたくなるようなパスミスするので、そこは要反省。


また、先日のイラク戦では評価した、ともかく相手に早く寄せて足を出すディフェンスが今日は見られなかったこと。
ここは相手が引いたからとか関係ない部分なのでイラク戦でできたのならこの試合でもできなくてはいけない。


また、引いてくる相手に対する攻撃で有効なのは、数少ないカウンターのチャンスで早く攻める、です。
そしてハリルジャパンはこの状況が得意分野だったはずです。
が、今日は数度せっかくそういうチャンスがあった時も、過去に戻ったかのような遅攻をしてました。



引く相手に対し苦戦すること自体は、難しいことなので常に完璧に崩せなくともまあ構いません。
しかしそういう状況的なこと以外にも反省点が結構多かった今日の試合でした。
アジア予選はこういう戦いばかりが続くわけで、まだまだ成長し、改善していって欲しい。