【艦これ】 陽炎、抜錨します!3 【ラノベ】

艦隊これくしょん -艦これ- 陽炎、抜錨します!3 (ファミ通文庫)
- 作者: 築地俊彦,NOCO
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
- 発売日: 2014/07/30
- メディア: 文庫
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今回関心したのはあきつ丸の扱い方で、ゲーム本編でも戦力としては基本的に全く役に立たない彼女、だから最初は「力になりたい意志はあっても力になれない者」を描くために登場させたのかと思いましたが、最後の最後彼女は、急にスーパー鑑娘になるわけではなく、しかし彼女ならではの力の発揮場所で活躍します。
まああの倒し方は唖然とするものではありましたが、誰しも自分の活躍できる場はある、ということを描いたプロット構成にただただ感嘆。
また、横鎮とは別の鎮守府?を出すことで別の提督とその秘書艦を出せており、だからこそ描かれた部分も多かったです。
横鎮は大きすぎて今さら一人の秘書艦との関係とか過去の振り返りなど描けないものですが、「初期艦」という艦これならではの要素についてこの形で描いてきたかと。
この巻で描きたかったのは、第十四駆逐隊とは別の、その二点の部分だったと思います。そしてその二点がすごく面白かった。
ただ、やはり2巻の時に心配した通り、広がりすぎた風呂敷は収拾がつかなくなってきてますね・・・。
もはや敵の戦艦クラスに駆逐艦だけで勝てることは当たり前、空母=航空機が出てきても駆逐艦の対空砲火だけで対処してしまう(!?)、しかも相手が単艦ではなく自分たちより質量とも上の艦隊になっている所に挑んだ上でそれ。
バトル物で主人公が勝つのはもちろん「決まり事」ですが、一回だけとか、奇跡的に、ならともかく、毎回相手とのパワーバランスを無視した勝ち方をされては・・・。
それに艦これは艦隊もの、鎮守府レベルの戦闘ものであるので、駆逐艦6人だけの戦隊で毎回立ち向かいボスまで倒しましただと鎮守府の存在意義は・・・艦これのノベルである意義は・・・と思ってしまいます。
1巻のように、駆逐艦たちはあくまで戦艦や空母などのお姉さん方にフォローされる中、駆逐艦ならではの身の丈にあった戦いで頑張る、という形の方が、このノベルはいい加減な風呂敷を広げずしっかり地に足をつけた物語を描いているだけに、好ましかったかと。