暗殺教室の数学最終問題

暗殺教室 14 (ジャンプコミックス)
どうでもいいし誰も興味ない話だと思いますが、かつて受験戦士でありそして今(受験とは別の分野ですが)教育の立場の人間としてあまりにツッコみたかったので暗殺教室14巻収録の数学最終問題について。(単行本派なので今日初めて読みました)
※以下、漫画を読んだ人だけ向け



これは問題文が悪い。



問題自体は簡単です。別に計算も必要なく、直感でa^3。
・・・と答えたあと、漫画を読み進めると答えが違う様子。
しかも、浅野およびカルマが答えを導き出そうとするプロセス自体が意味不明。
答えを聞いてもプロセスを聞いても全く納得も理解もできなかったのであれー?って思ってましたが、その後ネットで調べて問題文が言いたいことを知りました。



点、とは格子点のことでななく、任意の座標のことなんですね。



任意の座標、という意味であれば、やはり問題は簡単で、難しい計算も必要なくa^3/2。
この場合は、カルマの解答プロセスは、確かに読者にも分かりやすく伝えられていると思います。



つまり、この問題は、「問題自体は簡単だけど、問題文がどういう問題を提示しているのかを理解するのが難しい問題」になっています。
点を格子点と理解すべきか、任意の座標とすべきか。
それは問題文だけでは特定できるように書かれていないため、「問題文の意味が二択で解釈でき、どっちの解釈で問題を解くかという1/2の博打に勝てるかどうかという難問」になっています。
こんなの、中学生でも1/2の確率では解ける代わりに、東大生でも1/2の確率で不正解します。


この問題は素人の作者が作ったものではなく、その道の最前線のプロであるZ会の人が作ったものだそうなのですが、Z会に唖然。
これ、ただの学校のテストで出てきたのなら、手を上げて「すみません、これ、どっちの意味の「点」ですか?」と聞いて解決できるのでいいのですが、受験で出てきた日には聞くこともできないわけで、これで正解不正解を半長博打されて落とされた日には社会問題級ですよ。
(出題者が)自分の頭で思っていることが正しく相手に伝わるには、正しく伝えなければいけない、そういう問題文でした。


ちなみに、問題文の解釈博打に勝ちさえすれば、大学受験レベルの問題ですらない、という意味でも驚きました。


ちょっと余談ですが、
「一辺の長さがaの正方形がある時、その正方形の内接円の、そのまた内接正方形の面積はいくつか」
この問題は今回の問題と似たレベルの問題(解答プロセスが近い)かと思いますが解けますか?
自分が中学の時に実際に解いた問題で、ちゃんと中学生の知識で解けるけど中学校の数学教師でも解けなかった問題、です(笑)
でもこれ、大学受験レベルではないですよね。