【サッカー】 日本 vs ホンジュラス
快勝ですが、例のごとくあくまで中身について。
と言っても、原則「良かった」という感想です。上手く行きすぎな感はあるけど、上手くいった時はこんな形を実現できる、ということを色んなパターンで見せてもらいました。
全体的に言えるのは、細かいパス回しで崩していくというスタイルを、アギーレ体制の4-3-3でもちゃんと構築していたこと。
サイドからの攻撃も多いですが、ただ放り投げて上手くいくの待ちではなく、ポジティブに自分から上手くいかせてた。
結果的には最後までつながらなかったシーンも含め、パスで崩そうという意思は強く感じたのでそこは良かったと思います。
本田
今日のMVPと言える本田。
4-3-3になってから最初は戸惑いを見せていた日本代表、違いは特にウィングという職の存在ですが、最初はこれを生かせてなかった。
しかし、だいぶウィングがいる場合の仕事、ウィングがいるからこその形というのを作れてきてる気がします。
そのことの典型例が本田。
「トップ下の遺伝子」で有名な彼ですが、今はちゃんとウィングでもできるよではなく、ウィングならではの仕事をできるよ、にまで昇華してますね。
ウィングに求められるのはドリブル力、クロスによるアシスト力、そして中に切り込んでのシュート力、その全てを今日は発揮してました。
また彼はいい意味で自分が前面に出る意志があり、今日で言うと内田が結構上がるケースがあったのですが、せっかくあんな長い距離を走ってきたんだしと変に使ってあげようとせず、囮にする時はしてしまう遠慮のなさが彼のいいところだと思います。
酒井
アギーレ体制において急成長を見せる選手の一人が彼。すごく良くなってます。
9月の招集ではまずパスありきのプレイが目立った彼、10月の招集でそこに自己推進の意志を見せ始めましたが、今日はそれがさらに成長してました。
若い選手でもあるし、この急成長ぶりは近日のアジアカップではなく、4年後のW杯に向けての期待を大きく持たせてくれます。
内田
そんな酒井の成長を喜びつつも、やはり日本の右SBの一番は内田だなぁと思わせるパフォーマンス。
他に長友もいるわけで、SBは結構激戦区になるかもしれません。
香川と遠藤
で、今日の試合を見て、この二人に対して「あれ?」と思った人は鋭い。
この二人、仕事が逆転しています。
前体制では香川が左OMF、遠藤がボランチであった通り、本来は香川は前で仕事をするタイプ、遠藤は後ろから組み立てるタイプでした。
これは選手の特色に合った仕事の割り振りであり、ザック体制が特別だったわけではなくごく一般的な配属です。
が、今日は遠藤がひたすら前で仕事をするシーンが目立ち、逆に香川はちょっと引いた位置でパスワークと守備に職を見出すことが多かったです。
これが、監督の采配なのか、パフォーマンス上の問題なのかによって、感想は大きく違います。
監督の采配であった場合、ある意味理解はできるやり方です。
遠藤を入れる場合、現体制のアンカーは完全に守備のキャラクターなので、インサイドハーフに入ることになる。
で、二人いるインサイドハーフの一人に遠藤が入った場合、彼に守備面の仕事を求めづらいんですよね。
彼はパス力は随一ではありますが、あまりハードワークができない人で、また守備力にも問題がある。
その彼が、ボランチの位置であれば位置的にまだ守備面で頑張らせることができますが、インサイドハーフだとかなり走らないと守備に回れず、それが望めないと判断した監督の采配が、では香川により守備的に仕事をしてもらう、という選択だった可能性がある。
その視点で見ると、香川は今日いい仕事をしていました。
香川自身も守備はあまり得意ではないのですが、今日は体を使ってしっかりボールを奪いに行くシーンが何度も見られました。
また、かなり後ろの位置からロングパスを通す形を何度も実現していて(特に本田へのロングホットラインが目立ってました)、まるで今まで遠藤がやってたような仕事を上手くこなしていました。
が、これが監督の采配ではなくパフォーマンス上の問題であったならちょっと心配です。
なぜなら、香川がボールを持った時に、あまり自分で前に進んでいく意志を感じ取れなかったから。
ボールを持つとたいてい後ろに行くことが多く、出すパスも後ろ向きが多く、これは本来の彼のパフォーマンスではない。
本来は彼はボールを持たせた時にドリブルにしろパスにしろ前に推進できる事こそが良さだったので、監督采配であえてそれ以外の仕事を担当しているならともかく、自分の問題でその仕事を避けているのだったとしたら問題。
今日の香川がたまたまパフォーマンス上後ろ向きだったのか、今後香川が本職をこちら寄りに変えていくのか、そこが気になるところ。
今日はゴールラッシュの日でしたが、もし香川が今後もあくまで前のキャラクターとしてやっていくのなら、香川にこそゴールが欲しかったなぁ。
今の香川に必要なのはゴールという結果。そこから自信を取り戻してもらいたい。
所属クラブのドルトムントでもそうですが、今の香川は決して技術的に問題があるわけではないのになぜか結果が伴ってくれず上手くいかないことによる強気さの喪失が問題となっているので、いろいろ上手く行くようになってどんどんチャレンジングにいける彼に戻ってほしい。
ちなみに遠藤については、個人的にはあまり使ってほしくない選手です。
といってもパフォーマンスに難があるということではなく(部分的には難があると思ってますが)、4年後を見据えてのこと。
遠藤は年齢的に、4年後も代表レベルでプレイできるとは期待できません。ある程度はプレイできるでしょうが、最有力若手の柴崎も頭角を表してきている今、彼や香川を差し置いて遠藤の方が良いパフォーマンスを発揮する、という状況は望みづらいです。
アジアカップまでだけで使うというのも一つの選択肢ですが、こう言ってはあれですが、W杯を見据える場合、アジアカップくらいはその4年後を見据えた若手の力で、新体制で勝ち上がってほしい、という気持ちがあります。
彼に問題があるのではなく、彼がいないで構築される日本代表になっていって欲しい、そういう意味で使ってほしくない。