【GT6】 耐久の戦い方(考え方)

久々の長文警報〜(笑)


ガチ耐久を何度も企画させてもらってる身として、耐久に関する戦い方、というより考え方に関してですが、ちょっと自分の考える、こう考えた方がお得ですよという話をしてみようと思います。
一応これでも私は、過去の耐久において予選順位より本戦順位を落としたことはほとんどなく、たいていは上げています。(富士:予選3位→本戦1位/鈴鹿:7位→4位/シルバーストーン:3位→3位/ニュルGP/F:9位→4位/インディ:1位→2位  他主催でマドリード7位→5位)
これは自分なりに耐久の戦い方を考えた結果なのですが、その立場でのお話です。


と言ってもそんな御大層な話ではありませんが( ̄▽ ̄;、ご興味ある方はどうぞ。

最初に

これは「耐久で1位を取る方法」の話ではなく、「自分と同じ程度(もしくは相手が少し上)の腕の人相手に、速さ以外の部分でいかに差をつけて(埋めて)いくか」という話です。1位を取るだけなら「速ければ取れる」わけですが、そういう方向のお話ではありませんのでご了承をm(_ _)m

基本事項

  • 速さに対する理解
  • ミスに関する考え方

この二点が、私が耐久において理解が必要だと思う点です。

速さに対する理解

あるコース、あるレギュ、ある車で走ったとしましょう。
その時、自分の速さがどの程度かはどうやって把握しますか?
もちろん練習した上での話です。練習してない一発目がホントの実力だ!というのは話の方向が違うのでそっちではないです。


大抵の人は、ベストラップでそれを把握すると思います。
練習会などでも、相手のベストラップと自分のベストラップを比較するのが基本行為でしょう。


しかしここに一つ目の落とし穴があります。
タイムアタック勝負をするならともかく、長いレースにおいては「安定ラップ」が自分の速さです。
安定ラップは、5割成功するラップではありません。そして、9割成功するラップでもありません。
これは後ほど述べるミスに関する考え方に関係してくる話なので、今は詳細はおいておきます。


もう一つの落とし穴は、消耗との兼ね合いです。
消耗するとタイムが落ちることくらいは大抵の人は考えていると思いますが、それ込みで速さを把握していますか?
消耗があるレースでは、「スティントの合計タイム」が自分の速さです。

消耗を考慮した速さ

A=27+28+29+29と、B=28+28+28+28は、どちらが数値が少ないでしょうか。
バカにしているのかと言われそうな質問ですが、これを本当の意味で理解している人は相当少ない気がします。
大抵の場合、Aの人は、「ベストラップでは俺が勝ってるから俺の方がホントは速いんだよな。でもタイヤが厳しいな〜俺の車」と思っていることが多いです。(=俺が遅いから負けたんじゃなくて、俺が不利だから負けた)
色んな方が「タイヤが厳しい」と嘆いている車にいくつか自分自身も乗ってみた身として言わせてもらうと、それは走り方、セッティングがタイヤに厳しいからだと思っています。(同じ車で、その人よりタイヤを1、2目盛り節約することは何度も実現してきました)


もちろん、車によって消耗の度合いは違います。それは厳然とした事実。
しかし手元にその車があることが決まったあとは、その車ではどう走るのが消耗込みで速いかを考える必要があります。
個人的な感覚では、タイヤがフレッシュな頃の「ベストラップ」を0.5秒削ることより、タイヤがタレてきてからのタイムを1秒削る方が簡単です。(正確には「タレ度」を抑えることによって削るのですが)
同じタイヤの1目盛りがあったとして、それをフレッシュな頃の攻めに使うと、1秒が削れるとしましょう。
しかしそれを後半にとっておいてタレ度を抑えると、同じ1秒が、数Lapにおいて削れます。


しかしドライバーというのはたいてい「速く走りたい」という欲求を持っており、フレッシュなうちはその分攻めてベストラップを出しに行きたい、それで「あいつよりベストラップが速かった=俺の方が上」と思いたいと考えてしまいます。
そこが一つの落とし穴です。
あなたがあいつより速いと思っているタイムは、あなたがあいつよりタイヤを削って出しているタイムなのかもしれません。
相手はタイヤの消耗を抑えることを考えて走ったorセッテした結果、そのタイムになってるのかもしれませんよ?
「いや予選タイムは消耗考えてないし。練習走行でもそうだし」と思うかもしれませんが、そもそも本番の節約走行を前提に出したセッテ、そしてその練習走行では一発用よりタイムが落ちるのは当然です。
それをもって「俺の方が速い」と思い違いをしてしまうと、「俺より遅い」相手に何故かレースでは負けることになります。

  • 消耗を抑えるセッテor走りは、大抵の場合、タイムを落とすそれです
  • 耐久においては、スティントの合計タイムがその人の速さです

ミスに関する考え方

耐久などの長いレースをするとよく聞く言葉が、「ミスがなければ俺が勝ってた(いい勝負ができた)」という言葉です。
これも多くの人がよく陥る落とし穴です。
耐久においてはリスクマネジメントは必須の考え方であることを理解しないと、耐久で安定的に自分のベストパフォーマンスを出すことは難しいでしょう。


まずそもそもの間違いとして、「あのミスがなければ〜」という人は、大抵の場合、自分のミスだけをなかった事にして、相手のミスはそのままで計算しています。
そりゃ自分だけノーミスで相手はミスしてれば、計算上は勝てます( ̄ー ̄;


それを除いても、ミスというのは人為的に起こる(=自分の問題)ものだということを理解する必要があります。

安定ラップが自分の速さ

ガンガン攻めまくって、上手くいった時に出るタイム、は耐久においては求めてはいけないタイムです。
Z4 Challengeなどでは普通はあり得ない走り方をあり得ない難易度で挑戦して成功させればそれが「その人の速さ」になります。しかしレースをその走りでまとめられる人はほとんどいないでしょう。
今の例を「極端だ!」と思った方は、成功率9割だけど失敗したらスピンして10秒ロスする、という走り方で20Lap走った場合、10秒(以上)ロスする確率はどのくらいか、考えたことがありますか?


答えは、88%です。


さて、その場合、成功率を10割にするためにラップタイムを何秒までは落としても、20Lapの期待値が9割攻めの時を上回るでしょうか?


答えは1秒です。



別に88%とか1秒とかは仮の数値なのでそれ自体はなんでもいいのですが、ともかくガンガン攻めたベストラップがその人の耐久における速さではない、ということが言いたかったことです。


失敗のリスクを考えずに攻めてたまたま上手くいったらそれが「自分の腕が表れた本当のタイム」、ミスして落ちたら「ミスしたせいのタイム」というのは間違った考えです。
正しくは前者が「まぐれのタイム」、後者が「自分の腕が表れた本当のタイム」です。


これが、上で「ミスというのは人為的に起こる(=自分の問題)もの」だと書いたことになります。
ミスったら自己責任、という話ではなく、ミスのリスクを減らさずに走ればそれはミスをする(=自分の選択の問題)ということです。
正しくは、ミスはしないものではなく、起こらないようにするものなのです。


私もZ4 Challengeの時は相当無理をした細いところを通す走り方をしましたが、実際のレース、特に耐久では、リスクを負って限界を攻めること自体を避けています。
1回1割しか起こらないミスが長いレースの中でどこかで起きてしまうのは「不運でも何でもなく高確率の当然のこと」と思っているからです。


ミスは運が悪いから起こること、ミスで負けたレースはミスのせいだから皮算用することで対処するもの、腕が負けたわけじゃない、もう一回挑戦してその時ミスしないタイムが出せればそれで帳消しにできること。
リスクマネジメントの概念を持っている身からすると、ずいぶんと都合の良い考え方です。

  • ミスのリスクを減らすセッテor走りも、大抵の場合、タイムを落とすそれです
  • 「安定ラップ」とは「リスクマネジメントをきちんとした上でのラップ」です

ミスではないアクシデント

ただし、ピットラグなどのただの運により起こる不可避のアクシデントや、自分が普通に走ってるのにおもいっきりロケットが飛んできたとかはミスではないです。
この場合はおもいっきり皮算用して対処しましょう(笑)

まとめ

速さ(タイム)=限界まで攻めたタイム+消耗抑制低下分+リスクマネジメント低下分

つまり、「消耗を考慮せず」「限界まで攻めて」タイムを出して(消耗抑制低下分とリスクマネジメント低下分を0にして)、そのタイムを他人と比較しても耐久では意味がないということです。


練習会などで色んな方の走りを見ていて「その走り方じゃタイムは出るかもだけどタイヤ減るよ」「その走り方じゃタイムは出るかもだけどどこかではミスするよ」と思うことが、結構あります。


私も、好きに攻めまくっていいなら多分ラップタイムは1秒くらい縮められると思いつつ、耐久用のセッテを出し、走り方を練習しています。
全く攻めてないです、私の走りw


「今のレースはミスしたから負けた。タイヤが厳しかったから負けた。ホントは腕では勝ってる」という誤解をとくことが、耐久でライバルと差をつけるための秘訣です。
ラップタイムでは、積極的にライバルに負けましょう(笑)
そして本当の意味での耐久での速さを冷静に求め、「自分より速い」ライバルに打ち勝ちましょうd( ̄ー ̄