電王戦
第三回の出場者発表。
人間
既発表のA級の屋敷伸之九段はもちろんとして、豊島将之七段がすごく楽しみです。一番「強い」のはともかく、一番「勝てそう」なのは彼な気がしてます。
実は豊島七段は将棋世界8月号の企画で電王戦出場についてを聞かれており、「受けが強い人が向いてると思うので自分が出るのはどうかとは思うがオファーが来たら受ける」という回答だったので、「自分から立候補しての出場」はないと思っていたので出場はちょっと意外でした。対外的には立候補での出場のように扱われていますが、多分連盟から強いオファーがあっての出場と思われるのですが、その辺は触れずにいた方がよさそうでしょうか。
また、若手枠の菅井竜也五段も楽しみ。この企画はこういう活きのいい若手、が出るのが向いていると思います。
コンピュータ
今回コンピュータ側はハードが統一となっており、その事については以前述べました(私は肯定派)が、一つ言い忘れた大事なことがありまして。
この件、人間を有利にするための措置、と取られる向きもあるようですが、統一ハード化は、コンピュータ将棋開発者側からも望まれていることです。
全員が、とは言いません。実際、今回不参加を決定したソフトもあります。
しかし、財力によりパワーゲーム化されることは、コンピュータ将棋開発者内でも批判があることは一般の方にも知ってもらいたいです。
コンピュータ将棋は元々、「個人レベルの非常に小規模な開発」でプログラマ同士の腕を競い合える場、という側面が強いものでした。
この側面があったからこそ、経済的後ろ盾をもたない一介のプログラマも参加する分野であった。
しかしクラスタ化が進んでからは、「お金がない」人はその時点で圧倒的不利、となり「プログラマの知的技術」を競う方向ではなくなってしまいました。
この事は私が嘆いているのではなく、お金がない側の、一部の現場の開発者自身から苦言が出ていることです。いわゆる表によく出てくる「強豪ソフト」はこれらの恩恵を受けている側、なのでこの件について苦言は言いません。
が、弱小ソフトの開発者でこの件を嘆いている方はブログなどで見かけます。
手の再現性問題
もう一つ今回のルールで危惧さているのが同一バージョンの貸与で、それによる「再現性のある勝利手順を見つけ、それをなぞる」という件。
それについても以前述べました(危惧される要素ではあるが、現実問題としてプロ棋士でそれをする人はいないのでは・・・という希望も持っている)が、この件について明るい?要素が。
機械学習の進行は認めるそうです。
つまり、同一バージョンですが、(完全に初手から投了までの再現性をもった、という意味で)同じ手は指さなくなるということです。
これは今回、人間に有利過ぎ、ただのプロ棋士によるデバッグ作業になる、という危惧をしていた方(or一部の出場をとりやめたコンピュータ将棋開発者?)には危惧を解消するルールではないでしょうか。
この手のことを書く時は毎回言うようにしてますが、私自身もプログラマです。
勝敗予想(希望)
あくまで「希望」ですが、今回は物量の暴力が禁止されたこと、棋士側に正しいコンピュータ将棋の現在の強さの認識及び危機感があることから、人間側の3勝2敗いけるんじゃないかと思ってます。
まあまだ対戦相手決まってない段階ですが、頑張って欲しい!