電王戦

実は私は将棋が好きで、子供の頃からよく指してて、将棋本もよく買うしプロのタイトル戦は必ずチェックしてます。
なのでこれもすごい注目して毎戦見てるのですが、なぜかブログにはこれについてのことを書いてなかったので書いてみます。
明日以降、遡って第3局以前のことも書くかも?
※私は大した棋力もないので、指し手についてあれが好手だったとかあれが敗着だったとかそういう手についての善悪云々は語りません。あくまで「人間 vs コンピュータ」という戦い、について書こうと思います。
※ちなみに余談ながら、私はプログラマーです。ので、コンピュータ将棋についてそういう視点でも興味があります。

第4局 塚田泰明九段 vs Puella α

正直感動しました。
塚田九段はかなりの年配の方、言い換えると将棋界でずっと生きてきた、プライドも多く持っている方だと思います。
その方が、コンピュータの弱点を突く指し方である入玉を狙ったこと。
ただ入玉を狙っただけなら、そういう将棋も(人間同士でも)あるというだけの話なのですが、あの状況は、例え入玉できても全く勝ち目のない状況でした。
入玉将棋において大事な、大駒は全て相手の手にあり、また例え一枚取れてもまだ全然追いつけない点数差。
はっきりいって、コンピュータが奇跡的に色々(一つや二つではなく)間違えてくれて、やっと引き分け(≠勝ち)にできる状況。
その状況で入玉に行くのは、プロとしては「なに勝ち目もないのに無駄なクリンチしてるんだよ」という批判を受ける、非常にプライドに係る行為だったと思います。
結果としてそこから、コンピュータ側の入玉関連の判断の悪さにも助けられ、大駒を二枚取り、さらにそれですらまだ足りない点数を一枚の歩を追うことで入手にいき、なんとか引き分けに持ち込んだのですが、その間はプライドがズタズタにされる数時間のではないかと。
しかしそれを石にかじりついても狙って行った。
何故それができたか、それについては塚田九段がインタビューで度々触れた、団体戦ならではの責任の大きさにあったと思います。
塚田九段は終局後、引き分けという結果にもかかわらず、プロ仲間が初めて見たという涙を流しました。
涙を流すほどの何かがかかった真剣勝負は数十年のプロ棋士人生の中ではたくさんあったと思いますが、それでも今回がそうなったのは、棋士にとって、普段の対局はあくまで自分一人であり、自己責任であるのに対し、今回は背負ったものが違った、ということをよく表していたと思います。
こんなに価値のある「必敗形からの」「勝ち目もない」「クソ粘り」は初めて見ました。ある意味これもプロらしい、プロだからこその将棋。アマチュアなんかだと、どうせ失うものもないし、さっさと投げ出して終了でしたよ。
今回はその人間としての部分に非常に感動しました。やっぱり将棋は人間が指してこそだな、と思いました。

伊藤さん

事あるごとにヒール役として(ドワンゴから?)担がれるPuella αの開発者の伊藤さんですが、持将棋宣言で自分から宣言するのを(プライドもあり)ためらう塚田さんに「宣言するなら受けますよ」と自ら助け舟を出すなど、決して人間側を敵としてコンピュータが勝つことに全ての価値を見出しているわけではない、真の人間性を見ました。
また、引き分けたことについても割とあっさりしていて、まさに技術屋だなぁという感じです。
と言っても決して勝ち負けに執着がないというわけではなく、あくまで指すのは自分ではなくコンピュータであること、また所詮は一発勝負であること(プログラマー視点で見れば、勝率が重要なのであって一発勝負の勝敗はあまり重要ではない)からそうなのだと思いますが、プログラマーらしいプログラマーだなぁと言うか・・・。
また、対局後のインタビューでコンピュータ将棋の進化について「棋力がお金で買える時代」という視点を持っていたことが印象的です。私もGPSの670台クラスタはなんか違うんじゃないの?と思ってる派なのですが、コンピュータ将棋の開発者が変に「将棋ソフトが強いのは俺の腕」的な考えを持っておらず、物理的な意味で強引に強くしている(ソフトウェア視点からすればそれは強さではない。少なくともプログラマーの私はそう思います)面があると認めていることは好印象でした。

第5局

さて、来週いよいよ最終局の三浦弘行八段 vs GPS将棋なのですが、頑張って欲しいという応援はもちろんですが、それ以上に結構勝てるのでは?と思っているところもあります。
時間さえあれば、トッププロクラスが終盤においてコンピュータには負けてないんじゃないかと、これまでの4局を見て思いました。(秒読みになると辛いと思われますが・・・)
そして序中盤においては、基本的に勝ってる気がします。
色々期待しながら、来週を待ちたいと思います。